なんで志木君も嫌がらないんだ!


なんてついには人のせいにしてみたり。


彼の頬に触れていた手をさっ、と後ろに隠した。


志木君は少し戸惑っている。


ごめんなさい、ごめんなさい!と心の中で謝っていると志木君が話かけてくれた。



「あの、さ、一人で大丈夫だった?

って大変だったよな…」


「気にしないで。

言わなかった私も悪いんだから。」



そうだよ。


何も言わないで一人でやろうとしていた私が悪かったんじゃい。


志木君と二人きりになることが怖いと思った。


そんな私の自分勝手な気持ちで志木君をこんな寒い中待たせてしまった。



「本当にごめんなさい、色々と…」


ただそんな本音は言えないので。


あぁ、もう!


何やってるんだ私!


心の中で溜め息をついた。


「潮目が謝ることじゃないから。」


「ううん、私のせいだよ…」



志木君は私の答えに少し悩んだような顔をした後、笑って言った。



「多分俺は自業自得だけど。

明日からは二人でしっかりやる、ということで。」



そして右手が差し出された。



「はい、握手。」



隠していた手を前に出し彼の右手へとのばす。


だけど、その手に触れる直前で思わず手を引いてしまった。


自分の手を見ながら開いたり閉じたりしてみる。


それから目の前に立っている彼をもう一度見ると、まだ笑顔で手を差し出してくれていた。