とは言ったものの、どこから手をつけていいのやら。
私一人だし、今日は少ししか持って帰れない。
また出直そう。
と、あらかじめ持参していた風呂敷に、入るだけのプリントと数札の本を詰め込んで、研究室を後にする。
「……あ。」
ドアを開けると、雨竜さんが柱にもたれ掛かっていた。
「…すごい量みたいだな。」
「あ、はい。」
さっきの教授にでも聞いたのだろうか。
「とても、一度で持って帰られる量ではなくて…。ほんとお恥ずかしい限りです。」
「かして?」
「え?」
「手伝うよ。」
「だ、大丈夫ですよ?そんな人様にご迷惑など、おかけできません!」
必死に断っているのに、雨竜さんはまるで聞く耳持たず。
だけど私も、譲りません!
「駄目ったら駄目です!」
「危ないから、その手を離せ…!」
風呂敷の取り合いになってしまった。
「いい加減諦めてください…!」
「お前が諦めろ…!」
そしてついに、その時は来た。

