「矢野内さん、神崎先生が呼んでる。今すぐ生徒指導室に来てって」
放課後、ナッチと一緒に教室を出たところを、どこかから戻って来たクラスメートに呼び止められた。
「あ、うん。わかった」
すぐにそう返した。
やっぱりだ。
予想通り過ぎて笑える。
隣に居たナッチの顔が陰ったことに気付いた私は、すぐに思い付いた言い訳を白々しく口にする。
「二日も無断欠席したからだ。あいつの説教、長いんだよな」
ついでに嫌そうな顔もしてみた。
本当は『嫌』とか、そんな生やさしいもんじゃない。
あそこへ行くぐらいなら今すぐ死にたい、私にとってそれぐらいの地獄だ。
いっそ神崎を殺してしまえればいいのに。



