雪枝さんは、本当に愛想がない。 全てに於いて完璧で、誰かに媚びる必要性がないと、こうなるのかなぁなんて。 遠ざかる背中を眺めながら、そんなどうでも良いことを思った。 「何あれ? 感じワルッ」 ナッチが大袈裟に顔を顰めて、ボソッと私に向かって言った。 いつも私の気持ちをナッチが代弁してくれるから、私は「ん、だね」と返すだけ。 楽ちんだ。 私は狡い。 だから、罰を受けている。 償えない罪、与え続けられる苦痛。 現実は厳しい、 泣きたいほどに――