シンクロニシティー



 『迷子』って。
 そのお子様チックな思考に思わず頬が緩む。

「何笑ってんだよ?」

 不満げにこぼしながらも追い付いたシュウの手を取り、再び身を翻して奥へ歩を進めた。


「ねぇ、コト?」

 黙々と歩き続ける私に、シュウがまた不安げに呼び掛ける。

「心配性だなぁ……
 波の音がする方へ進めば、ちゃんと出られるよ」

「反対側に出ちゃったら?」

「グルっと一周する」



 ようやく諦めたのか、シュウは押し黙った。


 沈黙に包まれると、繋いでいる手の温もりを急に意識し始めた。
 そこから熱がみるみる全身に広がる。


 暑い――