シンクロニシティー



 私の顔の横からはシュウの右腕がニョッキリ伸びていて、それの逞しさに、やっぱりシュウは男の人なんだなぁと思ったり。

 突き出した人差し指は、今居る場所から500メートルほど先の小さな島を真っ直ぐ指していた。


「遠いよ。
 もし途中で浮き輪に穴が空いたらどうすんの?」

「そしたら、コトと一緒に海の藻屑となって消える」

 シュウから返って来た言葉に驚いて、振り返って見上げれば、悪戯っぽい笑顔が間近にあった。
 フッと、シュウにつられて私も笑った。


「それ、いいかも。そしたらシュウとずっと一緒に居られる」

 そんな告白が口を衝いて出てしまい、慌ててシュウから顔を逸らして正面に向き直った。


「うん、ずっと。永遠に」

 波の音に混じって、そんな言葉が私の耳を優しく撫でた。

 本当に微かな響きだった。
 もしかしたら空耳だったかもしれない。