シンクロニシティー



 大きな浮き輪一つで二人一緒にプカプカ沖を漂っていた。


 輪の中で、シュウが私の背中に覆いかぶさって、その両腕は私を挟み込むようにして浮き輪を掴んでいる。

 私は胸から上を浮き輪にのっけて、遠く前方をぼんやり眺めていた。


 シュウに包み込まれているその感覚が幸せで、夢心地で。


 このまま時が止まってしまえばいい、と思った。

 止めてください神様、と。
 信仰心皆無のくせに本気で願った。



「コト、あの島まで行ってみようよ」

 不意に耳元で囁かれ、突然現実に引き戻されたような残念な気持ちになった。
 けれど、背中にシュウの温もりがまだあって、ホッとする。