シンクロニシティー



 彼が何度も口にする『可愛い』に、特別な意味は含まれていない。

 子犬を見た時などに思わず飛び出す感嘆の言葉に似ている気がする。
 ――なんて、ちょっと図々しいかな。


 とにかく、恋愛感情など全く無いのだ。
 だから、少し残念ではあるけれど、素直に嬉しかったり。



「ほんと?
 じゃあ、ずっと笑ってようかな」

 思わずそんな言葉が出てきたことに、自分自身とても驚いた。
 けれど、それ以上にシュウが吃驚したようで、目を見開いてポカンと私を見詰めた。


 すぐにシュウは、フッと目を細め、フワフワした綿菓子のような笑顔を見せる。
 またドクンドクンと、血管の大きく波打つ音が全身に響き渡って。

 もう意識がどうかなりそうだ。
 見詰められるだけで。
 微笑まれるだけで。