シンクロニシティー

今、シュウのお母さんは経営している居酒屋でお仕事中だ。ここには私とシュウしか居ない。二人きり。



急に思い立って携帯を手にした。

コール音を数回聞いた後、携帯の向こうから懐かしい声が聞こえた。


「コト?」

「レイジ……元気?」


平静を装って明るく言ってみたけど、それは、わざとらしくて酷く不自然だった。

私はきっと、女優にはなれない。



「お前、大丈夫か?」

そう尋ねたレイジの声は弱々しくて不安気で。本当に心配しているみたいだった。


レイジがどこまで知っているのかわからないけど。まぁでも、警察沙汰だから、大雑把ないきさつぐらい、当然把握しているんだろうな。



「うん、大丈夫」

「そっか」


納得はしていないけど、私がそう言うなら仕方ない、そんな感じの相槌だった。