両親が一度、見舞いに来た。多分、私の様子も見に来たのだと思う。
ベッドサイドに立ち微動だにせずシュウを見詰めていた父の、震える背中が脳裏に焼き付いて消えない。
帰り際、無理矢理に微笑んで別れを言う二人が、余計に切なくて。
一人になった時、シュウの傍で子どもみたいにわんわん泣いた。
泣き疲れて、涙も枯れ果てて、ゆるゆると顔を上げたら、目の前にはシュウの安らかな寝顔があった。
ふっと。
シュウの言葉が頭の中に蘇る。
『そしたら、コトと一緒に海の藻屑となって消える』
一緒に海に行ったあの夏の日、遠くに見える島まで行こうとシュウが言い出して。途中で浮き輪に穴が空いたらどうするの、と心配する私に、シュウはそう言った。
シュウは――
私と一緒に消えたかった……?



