未だに――
どうしてこうなったのか、良くわからない。
今私は、彼が一人暮らしをしているらしいマンションに居て。
ダイニングチェアーに腰掛け、彼がいれてくれた紅茶をすすっている。
なぜ紅茶? しかも真夏であるのにホット?
それよりも……
何故、私はここに居るのだろう。
本当に買われたのだろうか。
けれど、その必要性がどれだけ必死になって探しても見つからない。
それは、当然と言えば当然なわけで。
彼は、この世のものとは思えないほどに美しく、女に不自由しているようには到底見えないから。
そして、彼は私のすぐ横に腰掛け、テーブルに頬杖をついて、私をジッと見詰めている。
すごく、近い。
ティーカップを口にくっ付けたまま、外せなくなってしまうじゃないか。
「落ち着いた?」
彼の声は、まるでクラシックのように、じんわりと私の身体に沁み込む。



