それでも私の胸のざわめきは治まらない。
顔が燃えているように熱い。
一しずく、額から汗が伝う。
「大丈夫?
しんどかった?」
彼が私の顔を覗き込むもんだから、益々私の頭の中は真っ白に。
慌てて彼の視線から逃れて、俯いた。
と、彼がおもむろにゴソゴソと身じろぎし始めたので、気になって再び視線を上げれば、羽織っていたシャツを脱いでTシャツ姿になった彼が居た。
濡れたTシャツがピッタリと身体に張り付いて、くっきりと浮かび上がった輪郭が美しい。
この世で最も美しいもの――
それは、今、私の目の前に居る彼ではないだろうか。
バカらしいほどに大袈裟だけれど、本気でそう思った。



