シンクロニシティー

父は強張らせていた顔をフッと緩め、

「そうかもな。伝えたいこと――伝えなきゃならないことってのは、どうやら一つ口にすると次から次へと溢れ出てて来るようだ。

父さんは、ただその最初の一つをなかなか口に出来ないだけで、案外おしゃべりかも知れないな」

冗談っぽく言って父は笑った。



父が冗談を言う人だなんて知らなかった。

17年間も一緒に暮らして来たのにな。


もしかしたら、私が忘れているだけかも知れないけど。



「何となく……。今伝えておかないと後悔するような気がした」

そう続けて穏やかに微笑んだ父に、「うん」とだけ返して車を降りた。


そのまま振り返らずに、マンションのエントランスへと入った。



もしこの時振り返っていたら――

何かが変わっていただろうか……。