シンクロニシティー

マンションの入り口真ん前に停車させた父が、ゆっくりと私の方へ顔だけ向けた。


「母さんとも話をした。さっき琴子に話した父さんの気持ちを、母さんにも伝えた。

琴子、もう一度チャンスをくれないか? 今すぐじゃなくていい。気持ちの整理がついてからで。いや、つかなくても、ほんの少しでも気が向いたら、帰って来てくれ、頼む」



こんなにも一生懸命な父は初めて見た気がする。

だから答えなきゃって思うけど、何て言えばいいかさっぱりわからなくて、言葉に詰まってしまった。



父は私を真っ直ぐ見据えたまま返事を待っている。きっと私が答えるまで待ち続ける。



「なんか……今日はよくしゃべるね」

関係ないことを口にして苦笑した。


それは私の、精一杯の照れ隠しだったかも知れない。