「待ちなさい、琴子」
背後から男の声に呼び止められ、仕方がないから立ち止まる。
振り返れば、いつの間にか席を立っていた父親が、こちらに向かってゆっくりと歩を進めていた。
また説教されるのかと、強張る身体と共に身構える。
私の目の前まで来た父は、真っ直ぐ私を見据えて、
「そんな大荷物で、大変だろう? 送る」
静かな抑揚のない声で、呟くように言った。
無表情だから何を考えているのかわからない。
急に優しいことなんか言っちゃって、何か企んでいるんじゃないでしょうね、とか……。
そんな疑心が脳内を渦巻く。
けれど断る理由もなくて。
擦れ違って私を通り過ぎ、先を行く父の背中を黙ったまま追った。
背後から男の声に呼び止められ、仕方がないから立ち止まる。
振り返れば、いつの間にか席を立っていた父親が、こちらに向かってゆっくりと歩を進めていた。
また説教されるのかと、強張る身体と共に身構える。
私の目の前まで来た父は、真っ直ぐ私を見据えて、
「そんな大荷物で、大変だろう? 送る」
静かな抑揚のない声で、呟くように言った。
無表情だから何を考えているのかわからない。
急に優しいことなんか言っちゃって、何か企んでいるんじゃないでしょうね、とか……。
そんな疑心が脳内を渦巻く。
けれど断る理由もなくて。
擦れ違って私を通り過ぎ、先を行く父の背中を黙ったまま追った。



