シンクロニシティー

神崎は生きていた。

良かった、『人殺し』にはならずに済んだ。本当に良かった。



「先生……どうだった?」

すごく気になるから尋ねてみる。


「『どう』って何が?」

苛立たしげに母は聞き返す。


「んっと。元気……だった?」

「ええ、元気よ。ああでも……頭に怪我されてたわね。逃げるあなたを追い掛けていて転んだっておっしゃってたわ。本当にあなたって子は……どこまで人に迷惑をかければ気が済むの?」



どうやったら、転んで頭の天辺に怪我をするんだ、と。

神崎が生きていたことに安堵したからか、そんな風に突っ込みたくなった。



とにかく戻ってらっしゃい、と有無を言わさぬ命令口調で言われ、仕方がないから頷いて電話を切った。



何気なくレイジに視線をやれば、不安げな面持ちで、様子を窺うようにじっと私を見詰めていた。



「生きてた」

ポツリ、落とすように小さく口にすれば、

「だろ?」

と。何故だか得意気に言い、レイジはくしゃっと笑った。