レイジがルミコの車で迎えに来てくれた。
「ルミコんとこでもいいけど……今ルミコ居ねぇし」
車を走らせながら、レイジが穏やかに言う。
隣のレイジをじぃっと見詰めたら、一瞬だけ視線を返してくれた。
優しい苦笑を浮かべている、どこか幼さを残した綺麗な横顔を見て、この人の困った顔が好きだったなぁ、と。そんなどうでもいいことを、ぼんやり思い出した。
「その……やっぱ……親に相談した方がいんじゃねぇか?」
「『人殺しちゃったんだけど、どうしたらいいですか』って? そんなこと絶対言えない。きっと追い返される。冷たく突き放されるぐらいなら、最初から頼らない方がいいよ。そしたら無駄に傷付かずに済む」
自分の口から出て来た言葉に、自分自身が驚いた。
私は――
親に突き放されて傷付くのが怖かったのか……。



