シンクロニシティー

「だから何だって言うんですか? そんなのが証拠になるんですか?」

単なる憶測の根拠でしかないじゃない。


何が何でも否定し続けてやる。絶対に負けたくない。

負けられない。



「俺には、お前のお袋さんに報告する義務がある」

神崎はそう言って、意味深な笑みを見せる。



「母に……嘘を言うつもり? やめてよそんなこと。やること汚い、最低」


「敬語が外れたな。やっぱ図星かぁー」


「そんなの嘘だって、私が母に言うから」


「さて、お母さんはどっちを信じるかなー。ねぇ、琴子ちゃん?」



思わず、足を止めた。神崎も黒いゴキブリを停車させる。



運転席でハンドルを握っている神崎の顔を、まじまじと見た。

神崎は私と視線が交わると、その口をグニャリと歪めて微笑んだ。