シンクロニシティー

詰め込む荷物を欲張り過ぎた。こんなに重くっちゃ、走るに走れない。


少しでも気を緩めたら引き摺ってしまいそう。手提げ部分を両手でギュッと握りしめて必死に運ぶ。



駅まで……とにかく駅まで辿り着けば……。



けれど、神崎所有の真っ黒いゴキブリが、背後からすうっと私に追いつき、ゆっくりと並走する。


気付かないふりをして、真っ直ぐ前を向いたまま、ひたすら歩を進めていると、右側、助手席の窓が小さな機械音を鳴らして滑り下りた。



「すっげぇ荷物だな? 乗れよ、送る」


神崎は前方と私、交互に視線をやりながら、まるで当然のようにそう言った。



「結構です」

「遠慮すんなよ。俺とお前の仲だろ?」