シンクロニシティー

「ご心配おかけしてすみません」


「構いませんよ。これが僕の仕事ですから。また何かありましたら、遠慮なさらず、いつでもご連絡ください。出来る限り対応させて頂きます」


母が詫びると、聞き覚えのある男の声が、人当たりの良い柔らかな口調で答えた。



神崎だ。自宅にまで来るなんて……。

急に悪寒がしてブルッと身体が震えた。全身の毛穴が縮まったような感覚に、一層寒気が増す。



慌てて靴を履き、玄関の扉を勢いよく開けた。もう今は、音を立てないようにとか、気付かれないようにとか、そんなの構っていられない。



「琴子?」

母に呼び止められたけど、無視して逃げるように玄関から飛び出した。