シンクロニシティー

その後は何事も無く放課後を迎えた。

今朝の嫌がらせがまるで夢か何かだったみたい。呆気ない。


既に飽きてしまったのか、それとも雪枝さんの目が怖いのか……。



鞄の中に入っていた教科書、ノートは昨日の時間割だ。使えたのは現国、グラマー、数学ぐらい。


それらを鞄に詰め込んで席を立ったところで、クラスメートに声を掛けられた。

「矢野内さん、神崎先生が呼んでる」

伝えなきゃならないから伝えただけ、そんな感じで彼女は気まずそうに苦笑した。



一応「ありがとう」と礼を言い、一歩踏み出したけれど。

もう今は、なっちを庇う理由なんか何一つ無いことにふと気付く。



放っておけばいいか、別に。