シンクロニシティー

その威圧的な声に逆らうことが出来なくて、言われるままシューズを床に落として大慌てでそれに足を突っ込む。


もうすぐ朝のホームルームが始まる。急がないと。



「田嶋さん、そこ、ちゃんと拭いといてよ」

シューズを履き終えるのを待っている間に、雪枝さんは、花瓶を倒した女子に向かってきつい口調で言う。


「えー」

と不満げな声を漏らす田嶋さんに、「やったのはあなたでしょ? 当然じゃない」と冷ややかに言い返した。


「うっざ」

小さくこぼしながらも、田嶋さんは席を立った。雪枝さんは、そんなの聞こえなかったみたいに表情一つ変えず、平然として教室の出入口へと向かった。



廊下の窓際まで来ると、すぐさま私を振り返って雪枝さんは口を開いた。


「勘違いしないで」