「待って!」
咄嗟にその腕を背後から掴んで引き留めた。ゆっくりと振り返った雪枝さんは、迷惑そうに眉根を寄せていた。けれど構わず「ありがとう」と伝えた。
「ん」
面倒臭そうに短く返した雪枝さんを、「待って、でも……」と更に引き留めた。
そうして足元に無造作に転がっているシューズを拾い上げて、雪枝さんに差し出した。
「これは借りられない。気持ちは嬉しいけど、私の味方なんかしたら、雪枝さんまでクラスのみんなを的に回すよ? 私にはもう構わないで。こんなの……平気だから」
無理矢理に笑ってみたけど、雪枝さんは酷く気分を害したみたいだ。その表情を強張らせ、腹立たしげに一つ息を吐く。
やんわり断ったつもりなんだけどな。どうやら失敗したみたい。
「ちょっと来て」
そう言われ、頷いて歩き出そうとすれば、
「それを履いてから、来て」
私が手にしたままの体育館シューズに視線をチラと落とし、雪枝さんは厳しい口調で言った。
咄嗟にその腕を背後から掴んで引き留めた。ゆっくりと振り返った雪枝さんは、迷惑そうに眉根を寄せていた。けれど構わず「ありがとう」と伝えた。
「ん」
面倒臭そうに短く返した雪枝さんを、「待って、でも……」と更に引き留めた。
そうして足元に無造作に転がっているシューズを拾い上げて、雪枝さんに差し出した。
「これは借りられない。気持ちは嬉しいけど、私の味方なんかしたら、雪枝さんまでクラスのみんなを的に回すよ? 私にはもう構わないで。こんなの……平気だから」
無理矢理に笑ってみたけど、雪枝さんは酷く気分を害したみたいだ。その表情を強張らせ、腹立たしげに一つ息を吐く。
やんわり断ったつもりなんだけどな。どうやら失敗したみたい。
「ちょっと来て」
そう言われ、頷いて歩き出そうとすれば、
「それを履いてから、来て」
私が手にしたままの体育館シューズに視線をチラと落とし、雪枝さんは厳しい口調で言った。



