前の席の女子が振り向きざま、その腕に花瓶を引っ掛けた。もちろん、わざと。
ゴトッと鈍い音がして、花瓶が私に向かって倒れる。その口から勢いよく水が流れ出し、私のスカートを濡らした。
巻き起こった爆笑の渦に、呑み込まれてしまいそう。
悲しいとか、悔しいとか、そういう気持ちはなくて。
そんな不感症な自分自身に、どうしてだか泣きたくなった。
茫然とその場に佇んで、スカートから滴る雫をぼんやり眺めていた。
ポサッと、私の足元に何かが投げ落とされた。見れば、誰かの真新しい体育館シューズ。
ゆっくり視線を上げたら、雪枝さんがすぐ目の前に立っていて、いつも通りの冷たい無表情で私を見詰めていた。
「貸したげる。必要なくなったら、ちゃんと洗って返して」
冷ややかに言い放ち、すぐさまクルリと踵を返す。
ゴトッと鈍い音がして、花瓶が私に向かって倒れる。その口から勢いよく水が流れ出し、私のスカートを濡らした。
巻き起こった爆笑の渦に、呑み込まれてしまいそう。
悲しいとか、悔しいとか、そういう気持ちはなくて。
そんな不感症な自分自身に、どうしてだか泣きたくなった。
茫然とその場に佇んで、スカートから滴る雫をぼんやり眺めていた。
ポサッと、私の足元に何かが投げ落とされた。見れば、誰かの真新しい体育館シューズ。
ゆっくり視線を上げたら、雪枝さんがすぐ目の前に立っていて、いつも通りの冷たい無表情で私を見詰めていた。
「貸したげる。必要なくなったら、ちゃんと洗って返して」
冷ややかに言い放ち、すぐさまクルリと踵を返す。



