シンクロニシティー



 グイグイと肩に回されたレイジの腕に押されながらも、振り返ってナッチを見た。


 その時のナッチの顔は――
 哀しみとか屈辱感とかを遥かに通り越して、嫌悪と侮蔑に歪んでいて。

 それはレイジではなく私に向けられていると直感した。



 ああ、わたし、
 また独りぼっちになってしまうんだ。



 思ったほど大した未練もなくて。
 あっさりした自分の気持ちに心底呆れた。




「てめ、舐めてんのか? ふざけんな」

 隣から落とされた重低音。

 見上げれば、威圧的な冷たい横顔。
 無表情だけれど、尋常でないほどの怒りで燃えたぎっているように見えた。