「お前、携帯放置すんなよ。俺、何べん電話したと思ってんの? 履歴見てみろって」
天然なのか、確信犯か。
まぁ多分、後者だろうけど。
レイジは都合のいい勘違いで、気まずい空気をうやむやにしようとしているんだ。
ようやくレイジの抱擁から解放された私は、すぐさま苦手な嘘を口にする。
「レイジごめん、わたし今日ちょっと用があって……」
『ナッチと二人で遊んで』と続けようとした。
けれど。
「なっちゃん、今日、やっぱコトだけ借りるわ。ちょっと話したいことあるし。ごめんね。また今度遊ぼ? 近いうち絶対連絡する」
レイジはそう言うと、曲げた右腕をナッチに向かって軽くあげ、私の肩を抱いて歩き始めた。



