唖然として思わず足の運びが止まった。
私が電話に出ないもんだから、レイジはナッチと連絡を取ったんだ。
「レイジくん、三人で遊ぼって」
はにかんだ笑みを浮かべながら、嬉しそうにナッチが言う。
「ごめん、ナッチ。わたし……裏門から帰る」
ハッと我に返って、慌てて身を翻して引き返そうとした。
けれど、背後からナッチにガシと腕を掴まれ引き留められた。
ゆるゆると振り返れば、
「レイジくん、最近コトが遊んでくれないって拗ねてたよ?」
不思議そうに小首を傾げたナッチが、クルンと綺麗に半円を描いた長い睫を、忙しなく上下させていた。
正確には『遊んでくれない』じゃなくて『ヤラせてくれない』だけどね。



