翌日、朝一番に、昨日言われた未提出の数Ⅱのノートを雪枝さんに渡した。


「ごめんね、迷惑かけて」

 反省なんてこれっぽっちもしていないけど、一応謝っておく。


 一言も発することなく素っ気なく受け取る雪枝さんに、

「あとさ、授業全然聞いてなくて、ほとんど何もやってないんだ。それももしかして、雪枝さんが先生にまた何か言われたりする?」

 恐る恐る尋ねると、彼女はまたわざとらしく深く長く溜息を吐き出した。



 雪枝さんは私のせいで面倒被るのが凄く嫌みたいだから、先に言っておこうと思った。

 事前報告で、少しでも罪を軽くしようっていう魂胆。
 見え見えだったかな。



 けれど、
 雪枝さんはおもむろに自分の机の中を覗き込んで、何かを探り当てて引っ張りだした。