「いい。やっぱ私帰る。なんか、ゴメン」
必死に言葉を押し出したけれど、適当に思い付いた単語を並べただけで、巧く繋がらずにブツ切れ。
ボタボタと足元に落ちる滴は私の目からこぼれ出たものだ。
私が泣く理由なんかないのに、そう思うも自分では止められないから厄介だ。
「コト?」
何故、シュウは不思議そうに私の名を呼ぶのか。
全て、何もかも――
わかっているんでしょう?
それでもシュウは柔らかく微笑むと、私を両腕で包み込み胸に抱いた。
「ごめっ……泣いてんのは、シュウのっ……せい……じゃな……い」
シュウの腕の中で、しゃくり上げながらもそう言うと、
「ん、わかった。いいから中入ろ」
掠れた声で囁くように言って、シュウは私の頭の後ろを優しく撫でてくれた。



