「待って」 腕を掴まれ引き留められた。 振り返れば、またあの切なげな顔。 こっちまで胸が苦しくなるからやめて欲しいよ。 私は平気、シュウに追い返されるぐらい痛くもかゆくもないから。 だから、放っておいて欲しい。 憂いた瞳が何か物言いたげに揺れる。 けれどもシュウはいつまでも黙ったままで。 「どっか行くとこだったんでしょ?」 耐え切れずに私の方から口を開けば、ハッと我に返って「うん、ちょっと飲み物買いに」と答えた。 何それ、フツー。 別にいいけどさ。