「先生のことを好きになれってことですか?」
あんたの方は、私のこと好きじゃないのに?
「『好き』とか……そういう気持ちは、頑張ってどうにかできるもんじゃないです。自分でコントロールできるなら、もちろんそうしたいけど」
そしたらこんなにも苦しまなくて済む。
この男を愛せたなら、この行為も苦痛ではなくなるのに。
「お前、ほんと可愛いよなー」
神崎は、嘲笑しながら侮蔑を含んだ口調で言うと、私の左首筋を、異常なほど時間をかけてゆっくりと下から舐め上げた。
ゾワリ、心の底から湧き上がる嫌悪が、寒気となって背筋を震わせる。
早く終われ、早く終われ、早く終われ……
何度も何度も頭の中で繰り返した。



