「何なの?」


グラスにあるシャンパンを全て飲み干してから、りさに言った。


「まなみ・・・私も不倫してたけどね、もう止める。」

「疲れたよ。将来がない代わりに、今の幸せだけを与えてくれる。一体幾つのダイヤと何枚のお札があれば満足出来る?ダイヤが一粒増えるたびに、私達は年を取るんだよ?」

返す言葉がない。


りさも私と同じく愛人をやっている。


昔は愛人の楽しさや辛さを共有して飲み明かしたりもした。


そんなりさが突然にこの話しだ。


私はまだ小川次郎との事を話してはいない。


何故かと言うと・・・


歯ブラシの件でまだ西山京介に気持ちが揺らいでいるからだ。