耐え切れなくてこぼした溜め息は真っ暗な夜空に吸い込まれ消えていく。 急に押し寄せた今日の出来事は、今までの日常と掛け離れ過ぎていて現実味が無い。 でも、手に残る肉を斬った感触、制服についた狼の血。 これらが現実だと夢ではないと主張する。 「ねぇ、アンタ。名前は?」 空を見上げたまま彼に問い掛ける。 彼は本当に血が駄目なようで、私から少し離れた場所に立っている。 「申し遅れました。私は神竜と申します」 「シン、リュウ?」 顔だけシンリュウと名乗った彼に向けた。