「…。

そうです。」

「でも、だ。

今は楽しい。」

「え?」

「近い未来でも、遠い未来でも、お前に殺されるかもしれなくても…


今、お前といることが楽しいって思えてる。」

「…。」

「だったら…一緒に居よう。」

「…。」


「今、咲子がどうしたいか…


お前がしたいことやってりゃ楽しいだろ?

楽しいなら…人を殺そうなんて思わない。」



「…。

幸大さん…。」

咲子も幸大を抱きしめる。


「でも…

私は蒼月の眼、冷酷で残虐な吸血鬼です…

殺すことを楽しいと思ってしまったら…」


「そしたら、我慢しろ。」

「矛盾じゃないですか?」

「世の中したいこと全てができないから、したいことを求めて頑張るんだ。


それに…

俺が咲子が楽しいって思えるようにしてやるよ。」


「…本当ですか?」


「…多分。」


「…。

じゃあ…今、楽しくしてください。」


「…。

さて、寝るかな。」


「嘘つきは私が舌を抜きますよ?」


「マジでやりそうで怖いって…」


「私を楽しませてください。」


「…。

どうしろと?」


「まぁ…チキンの幸大さんにいきなりハードなことは頼めませんから…」

「否定できないのが悲しいな…」


「このまま、寝ましょう。」

「え?」

「抱き合ったまま、です。」

「…。

それだと俺に重みが…」

「重いですか?」

「体重的にはむしろ軽すぎな気が…」

「問題ないですね?

おやすみなさい。」

「ったく…

拒みたくないと思うあたりが男の悲しい性だな…」