「化物か!?」

「黙れ吸血鬼。

人間だって言ってんだろ。」


「ふん!!

次こそは!!」

弾丸の如く飛んでくる。


「はぁ…


ブラッドウォール。」


ズァッ!

鉄血の壁が作られた。


バコーンッ!



ドサッ…

「気絶したみたいね。」

姫野が言う。

「ったく…しゃーねぇ。

運んでいくか。」

「そう…ね…」


クラッ…

姫野がよろめく。

「大丈夫か?」

「貧血で倒れそうなの…少しくらい良いでしょ?」

「嫌だ。」

「ほんの少しだけ。」

「嫌だ。」

「一口。」

「嫌だ。」

「10ml。」

「嫌だ。」



「ケチね。」

「ほら、行くぞ。」

幸大が榊パパを背負う。

「重いな…」




少し歩く。

分かれ道。

「どっちだ?」

幸大が言う。


「…え?

ああ…

こっちよ。」


姫野が辛そうに歩く。


「…。


はぁ…

榊。」

「ん?」

「今回だけだ。」

「え?」

「血をくれてやる。」

「良いの?」

「ここでお前に倒れられたら困るからな。」


「ありがと。


首出してちょうだい。

動くのも辛いから…」


「首である必要はないだろ?

俺の力なら動脈から吸っても平気だし。」