クーニャと姫野は帰り、後は寝るだけ。


「…。」

幸大が部屋に敷かれた布団を見る。


布団は二組離れて敷かれていた。

部屋の端と端。

真ん中にはそれなりの空間がある。

「咲子…」

「はい?」

「なぜ俺の布団に入っているんだ?」

「布団を温めているんです。」

「お前は秀吉か!」

「人肌ですよ?」

「良いから退け。」

「男なら一緒に寝ようの一言くらい言ってはどうですか?」

「お前のために買った布団だ。

そっちの布団でありがたく寝やがれ。」

「…ケチですね。」

咲子が自分の布団に戻る。

「電気消すぞ。」


部屋が真っ暗になる。

「…。」

幸大が布団に入る。


「温かいですか?」

咲子が言う。

「ああ。


つーか、これからの季節は夏だ。

布団を温めなくていい。」


「…。」

「咲子?」

モゾモゾ…

「うぉっ!?」

「失礼します。」

咲子が幸大の布団に潜り込む。


「今すぐ戻れ…」

ぎゅっ。

咲子が抱きつく。


「な!?」

「たまには良いじゃないですか。」


「たまにはってほど長い付き合いじゃない。」



「血も吸いませんし、寝込みも襲いませんから、良いじゃないですか。」

「…。

そういう問題じゃなくてだな…」

「おやすみなさい。」


「…。


俺が寝れないだろーが…」