「そうだよ。

以前は面白いお客さんがいたんだよ?


リングに自分が持ってきた石を嵌めてって頼まれてね。


隕石を指輪に嵌めた時もあったよ。」

店員が言う。

「隕石を?」

幸大が言う。

「ああ。

どうやらその彼女は隕石やUFOが好きだったそうでね。」

店員が言う。


「…。

あの…どのくらいの大きさのがリングに嵌めれますか?」

幸大が言う。

「このくらいだね。」

小さな石を見せる。


「ちょっと待っててください…」


しばらくして…


「全部で12000円だけど1万で良いよ。」

店員が言う。

「ありがとうございます。」

幸大が支払う。

「それから、1万円以上お買い上げの方にはクジを引いてもらってます。」


「じゃあ…」

幸大がクジを引く。

「おっ、当たりだね。


どうぞ。」

紙袋を渡された。

「中身は…マフラー?」

幸大が言う。

「ありがとうございました!」



幸大と行正が店を出た。


「ところで、幸大が持ってきたあの石は何なんだ?」

行正が言う。

「秘密だ。」

幸大が言う。


「ケチ。」

行正が言う。

「それよりも、行正。

マフラー、要らないか?」

幸大が紙袋をブラブラさせながら言う。