「他の階に人は?」

咲子が言う。

「1、2階にいたお客様は全員避難したと聞いてます。」


「確かに…声は聞こえませんね。

幸大さん…行きましょう。」


「その前に。」


ズァーッ!

コートを人数分作り上げた。

「皆、着てから行くぞ。」





非常階段前


「扉を開けるとバックドラフトとか言うのが起こるんですよね?」

咲子が言う。

「ああ。

急激に酸素量が増えて…って、説明はいい。

ようは、こうする。」


ギュルルルルル…


皆のコートは渦を巻いて回収された。

「これだけじゃ足りないな。」


ズァーッ!


幸大の首筋からさらに大量の血液が溢れた。


「ブラッドボックス。」

幸大たちの周りを壁が囲む。


「酸素が火災部にいかなきゃいいから扉の周りの空間を隔離すれば良い。」


ガチャッ。


「ほら、外だ。

気を付けて階段を降りろよ?」

幸大は子供に言う。




非常階段の下まで行くと老人を下ろした。

「店員さん…この方をお願いします。」


「え?」


「咲子、行くぞ。」

「何故ですか?」

「吸血鬼が無駄に騒がれる気か?


俺だって色々と普通じゃないことばかりしたからな。


騒ぎにならないように帰るぞ。


じゃなくて、服を買いに行くんだったな…」

「はい。」