駅前



「やぁ…沙羅さん。」

「佐藤さん…」

「待たせちゃったね。

さっそく行こうか。」


佐藤が歩き出そうとする。

「あの!

お話が…」

「だったら喫茶店に入る?

とにかくここじゃ寒くない?

さぁ、行こう。」

佐藤が半ば強引に話を遮る。


「あの…」

「良いから。

ここじゃ寒いし。」


「貴方とはデートできないんです!!」

沙羅が言う。

ぴくっ…

佐藤が一瞬ひきつる。

「詳しい話を聞くためにも…ここじゃ…」

「ダメなんです…

これ以上…貴方とは一緒にいれません。」

沙羅が言う。

「せっかく待ち合わせして、楽しみにしてたのに?」

佐藤が言う。

「その…」

「あーあ…

デートプランも考えて、昨夜は楽しみで寝付けなかったのに…」

「その…すみません。」

「謝るくらいなら…デートしよう?」

「それは…」

「ほら、行こう。」

「嫌です!!

私は、好きな人がいますから…」

沙羅が拳を握りしめて言う。

「ちっ!

ごちゃごちゃうるせー女だな!!」

佐藤が怒鳴る。

「え?」

沙羅は驚く。

「幸大とかいう無能なクズのことだろう?」

佐藤が言う。