日曜


「あの…行ってきます。」

沙羅が家を出た。

「さて…俺も様子を見に…」

その時、幸大の携帯が鳴る。

「行正が…電話?

いつもはメールしかしないのに。


もしもし?」

『こ、幸大!!』

「どうした?」

『た、助けて…』

『おっと…よう?

あんたが幸大ってやつだな?』

「お前は誰だ?」

『佐藤って知ってっか?

2年の。

そいつにお前を逆らえないようにしてほしいって頼まれてな。

んで、お前を呼び出すのに、行正を拉致った。

今から言う場所に一人で来い。

さもなきゃ…行正は死ぬぜ?』


場所を告げて通話が切れる。


「行正め…捕まりやがってめんどうなことになりやがって。


はぁ…出かけてくる。」

「幸大さん。」

咲子が言う。

「ん?」

「人差し指を出してください。」

「ああ…」

かぷっ。

咲子が噛みつく。

「何すんだよ…」

「幸大さんのことですから喧嘩になると拳を鉄血で包む鉄拳を使うと思いますから。

手袋をして今の傷から血を出して包めばバレないかと。」

「いや…いつもは自分で血管から突き破ってるし…」

「どうせ傷ができるならば、幸大さんが自分でするよりも私の牙でつけたかったので。」

「ならば!!」

ガリッ!

マリアが逆の手の人差し指を噛む。

「いたっ!?

やりすぎだろ!

噛みちぎる気か!」

幸大が言う。

「わ、私は?」

優衣が寂しそうに言う。

「はいはい…

優衣、行ってきます。」

ちゅっ。

優衣の唇に軽くキスをして幸大は家を出た。