「何が離れても構わないよ!!

私たちを縛る覚悟がないだけじゃない!!


そのくせ、手放す気も無いくせに!!」


「姫野…何を…」


「ずっと…ずっと思っていたわよ…それがあんたの良いところだって!!


でも…違う!!

あんたは何の覚悟もないまま私たちを側に置いてる!!」

姫野が睨む。

「何が…言いたい?」

幸大が姫野の眼を真っ直ぐに見つめる。


「私たちとの関係だとか!

クーニャたちみたいな他の人とのバランスだとか何とか言って逃げてるだけでしょ!!

本当はそんなの必要ない!


沙羅に最後に言った言葉だって…曖昧で…

あんなこと言われたらよけいに不安になるし…怖くなるのよ!!


幸大、あんたはそれがわかんないから…あんたは最低よ!!

沙羅だけじゃない!!

私だって、他の皆だって…沙羅と同じ状況であんなこと言われたら怖くなるのよ!!」

「何がなんだかわかんないって…」


「私が告白されたりするのは知ってるわよね?

学校祭の時だって…

あんたは私を…私たちを信じてるから何も言わないって言うけど…

私たちは言ってほしいの!!

じゃないと…怖くて…不安で…」


「悪かった…」

「謝るな!!」

姫野の悲痛な叫びは辺りを静寂へと誘った。