翌朝


「なんか…重い。」

幸大が目を開ける。

「おはようございます。」

咲子の顔が目の前にあった。

「マウントポジションから何する気だ?」

幸大が言う。

「それが…血をいただこうと噛みついたモノのまったく血が吸えずに困ってます。」

咲子が言う。

「ああ…予防線を張ってて正解だった。


血は俺の許可がなきゃ吸えねぇよ。」

「そうなんですか?」

「まぁな。

さて、飯でも。」

「私にも血を。」

「いや。

つーかどかないと起きれない。」


「嫌です。」

「お前も朝食を…」

「吸血鬼の食事は血です。」

「ご飯も食うんだろ?」

「お腹が減りますから当然です。」


「だったら行くぞ。」

「提案があります。」

「何だよ?」

「ギブアンドテイクです。

私に血液という名の朝食を食べさせてください。」

「…。」

「その代わり、私の体を食べても良いですよ。

もちろん実際に食べるという意味ではなくて比喩ですけど。」


「よっ、と!」

「きゃぁっ!?」

幸大が無理矢理起き上がった。


「さて、腹減ったな。」

幸大が部屋を出た。


「ケチな上にチキンのDTですね。」

「DT?」

「知らないんですか?

常識はずれですね。


チェリーボーイのことで…」

ベチッ!

幸大が咲子にチョップした。