「提案があります。」

咲子が言う。

「ん?」

「話は平行線どころか論点がずれまくりなので、

ここは幸大さんが家を出るのに賛同しましょう。」

「しかし…」

父親が渋る。

「別に咲子がいれば問題ないだろう?」

幸大が言う。

「いえ、私は幸大さんと同棲します。」

「は?

ふざけんなよ?」

「咲子君…私も反対だ。

寂しさが限界値だ!!」

「黙れ、間抜け!」

「ついに親父とすら呼ばぬ気か!」


「離れて暮らせば互いの大切さがわかりますよ?

いつか幸大さんがお父さんのもとに駆け寄ってきます。


ですから未来のために幸大さんが家を出るのに賛同しませんか?」


咲子が言う。

「確かに昔はお父さんとよく駆け寄ってきた…


可愛かったなぁ…


よし、咲子君との同棲を許す!!」

「同棲はしない!

つーか…母さんも黙ってないで何とか言ってくれ…」

ソファでずっと傍観していた母親に言う。

「家を出るのに賛成よ。

あなたも子離れしたほうが良いわ。」

「じゃなくて同棲の話だよ!!」

「咲子ちゃん、甲斐性がないけど幸大をよろしくね?」

「ふつつか者ですがこちらこそ…」


「決めんなよ!!」

「よし、咲子さん。

今からアパートを探しに行くぞ!!」

「はい。」

「明日から住める場所をさがしてくる!」


二人が出ていく。

「じゃあ、私は引っ越し業者に電話するから荷物をまとめれるようにしときなさい。」

「独り暮らしがしたいんだっつーの!」