「ん…こほん!」

榊パパが咳払いをした。


「うわっ!?

いたんですか!?」

幸大が言う。


「まぁ…その、君たちが何をしても文句は言わんがその、周囲の目をだな…」


「すみません…」


「それよりもノックしろよ!!」

マリアが言う。

「いや、一応したんだが…」

「その、騒がしくてすみません。」

沙羅が謝る。

「それで…何の用かしら?」

姫野が言う。


「ああ、実は幸大君には話しておこうかと思ってな。」


榊パパが言う。


「私たちは席を外しましょうか?」

咲子が言う。


「いや、構わんよ。

話とは今回の件の全容だ。


君には報告するべきだとVAPの総意で決まった。」


「専門的なことはわからないので分かりやすくお願いします。」


「うむ。

今回の怪物は、アロン・ディ・クラントと言う吸血貴族だった。


吸血貴族とは、その昔、吸血鬼の王がいた時の貴族のことだ。

純血の継承者…鮮血の眼の吸血鬼だった。」

「…。」

皆は黙って報告を聞く。


「怪物の体を…残された足を調べた結果、彼の血液からは…


吸血鬼の王の血


が検出された。」

「以前、盗まれたんじゃ?」

幸大が言う。


「ああ。

そして、普通の吸血鬼に使えば身体中の血液が吸収されてしまう。

怪物の体も例外なく吸血鬼の王の血のみが残っていた。」