「さぁ?」

姫野が言う。

「何かあったんですか?」

咲子が言う。

「怪奇現象だよ、きっと。」

クーニャが言う。


「いや…

今、

クーニャが幸大の背中をつねって。

咲子が幸大の脇腹に手刀を打ち込んで。


姫野が幸大の足の甲を踵で勢いよく踏んだように見えたぞ?」


マリアが言う。

「気のせいよ。」

姫野が言う。

「見間違いですね。」

咲子が言う。

「デジャヴだよ、きっと。」

クーニャが言う。

「クーニャさん…デジャヴは違うかと。」


咲子が言う。


「お、お前らなぁ…」

幸大が苦しそうに言う。



「そろそろ家に戻りましょう?


夜はお祭りだし。


お母さんとお祖母ちゃんが皆に浴衣を着せてくれるって昨日の夜に言ってたから。」

桂木が言う。



「あら、浴衣を?」

姫野が言う。

「浴衣ですか。

幼い頃以来ですね。」

咲子が言う。

「私は初めてだよ〜。」

クーニャが言う。

「私も初めてだ。」

マリアが言う。


「幼稚園以来です。」

沙羅が言う。



「浴衣か、楽しみだな。」

幸大が言う。

「幸大君は和服萌えかにゃ?」

クーニャが言う。

「違う!!

お前らが着るから楽しみだって…


って…まだ、翡翠の眼の副作用が残ってんのか?」

幸大が言う。


「私たち以外…先生の家族は皆、翡翠の眼の吸血鬼ですから。

空気感染的なモノかと。

フェロモンに近いので。」

咲子が言う。