「あら…同数ね。

君は入れたの?


えっと…名前、何だっけ?」

姫野が言う。

「知らなくても良い。

ちなみに俺もさっき逃げた奴もまだ投票してない。」


「幸大って呼んでたから…幸大君だよね?」

クーニャが言う。

「ああ。」

「他の男子は投票し終わってるみたいだし…

決着は君次第ね。」

姫野が言う。

「いや、行正と一緒に両方に一票ずつ入れようかと…」

「ダメだよ?

さっきの男子は逃げちゃったから棄権票だし、勝負に引き分けはないんだから。」

クーニャが言う。

「まったく違う人に一票。」


「あら…

いい度胸じゃない。」

「幸大君…

それは許されないよ?」



「…。」


その瞬間、授業開始のチャイムが鳴った。


「た、助かった。」


「あら…終わりじゃないわよ?」


「幸大君の一票で決まるのはわかってるんだし。


また、後で…ね。」

後でを強調して席に戻っていった。



「行正…お前な…」

戻ってきた行正に文句を言う。

「悪かった。」


「まぁ…あの二人も冗談で言ったんだろうしもう来ないだろ。」


幸大が言った通り、授業が終わっても幸大の方へは来なかった。