「ったく…俺だってしたことないっつーの。」


幸大はあぐらの上に沙羅を座らせて髪を結う。


「私よりもうまいぞ。」

マリアが横で見ながら言う。


「よし、こんなものだな。」


幸大が言う。


うまいとは言えないがそれなりである。


「ほら、マリアも。」

「あ、私は良いって…」


「前髪が目にかかってるし…

後ろは三つ編みにしてやろう。」


「良いって…

言ってんだろ…」


マリアは文句を言いながらも嬉しそうに幸大の足の上に座る。






「よし…」

「どうだ?」

マリアが沙羅に言う。


「可愛いよ。」

「沙羅も似合ってるぞ!」



「そーいや、姫野と咲子は顔を結んだりしないんだよな…」

「誰だ、そいつ?」


「眼が赤と奴と青の奴…吸血鬼だ。」

「青…」


「ああ。

咲子は蒼月の眼だが、優しいしちょっと大人びてて…



つーか、お前らはなんか幼く見えるな。」

「え?」

「なんだと!?」


二人が言う。

「いや…良い意味でな。


可愛げがあるってことだ。」

「…。」


「知り合いの黄色い眼の吸血鬼は幼く見えるって言うかガキだな。


そのくせ、ませてるからなぁ…


まぁ…悪くはないんだが…な。」