「ただいま。」

幸大が家のドアを開ける。


「お帰りなさい。


思ったよりも早かったですね。」

咲子が言う。

「そうか?」


「さて、定番ですが…

ご飯にしますか?

お風呂にしますか?


それとも、わ・た・し…ですか?


まぁ…チキンな幸大さんが三番目を選ぶことはないと思いますけど…」


ぎゅっ。

幸大が咲子を抱き締める。


「…。

今日は咲子で。」

「…。

何かありましたか?」


「なんか…抱き締めるのが気に入ってな。」

「まぁ…私は嬉しいですが…


抱き締めるのが気に入った…と言うことは誰かを抱き締めてきたんですか?」


「さ…咲子さん?

殺気がもれてます…」

「安心してください。


殺気ではなく怒気ですよ…まだ。」


「まだ、ってことは…」


「内容によっては殺気になります。」



「黙秘します…」


「…。

仕方ありませんね。

今日は見逃しますから…しっかりと抱き締めてください。」


「ああ…。」

「ふふっ…」

咲子が嬉しそうに笑う。


「えっと…キスをしても、良いか?」


「私が拒むと思いますか?」


「いや…。」


ちゅっ…