「えーと…

先生も良ければ吸いますか?」

幸大が言う。

「え!?

い、良いの?」

桂木が上目使いで見つめる。

「幸大さん、外が暗くなる前に帰りましょう。」

咲子が言う。


「そうね。

両親が心配するから帰りましょうか。」

姫野が言う。


「そーだねぇ〜。

さ、幸大君…帰ろ?」


「あぅ〜。」

桂木が寂しそうな目をする。

「えっと…その…」

「幸大さん、そこら辺の吸血鬼にむやみに血を与えたら変になついて困ることになります。」

咲子が言う。

「野良犬みたいに言うなよ…」

幸大が言う。


「ただでさえもう3人いるんだからこれ以上増えても面倒を見きれないでしょう?」

姫野が言う。


「今だって私たちへの構い方が不十分なんだよ?

もっと可愛がってほしいなぁ〜。」

クーニャが言う。



「はぁ…。

俺にどうしろと?」

「とりあえず、そこで激しく落ち込んでる教師をフォローしたらどうかしら?」

姫野が部屋の隅で体育座りをする桂木を見る。


「…ぐすっ。」


「桂木先生?」

「…ぐすっ。」

「その…」

「気を使わなくても大丈夫だから…」

「涙声でそう言われても…」

「…クスンッ。」

「えっと…先生。


明日もお邪魔していいですか?」

「ふぇっ?」

桂木が顔を上げた。

「勉強をしないといけないですから俺はともかく…こいつらは。」

幸大が姫野とクーニャを見る。

「…そう、よね。」

「それに、俺は先生に会いたいので。」