学校



「幸大!」

幸大とクーニャが学校に入った途端に行正が言う。


「どうした?」


「良いから来い。」

行正が手招きをする。


「何だよ?」


「今日の放課後に間宮先輩は榊さんに例のことを実行するらしいぞ。」

「…。

場所とかは?」


「そこまではわからなかったけどとにかく今日の放課後。

それだけは間違いない。」

「そうか…。

まぁ…関係ない。」

幸大が言う。

「なら良いけどな。

っと、先生が来る前に便所行こうっと。」


行正が教室から出ていく。


「関係ない…なんて思ってないくせに。」

クーニャが言う。

「関係ない…。」

「知ってるよ…」

ぎゅっ。

「幸大君が今の話を聞いて拳を強く握ったの。」

幸大の拳をクーニャが両手で包む。


「それから…素直じゃないってことも。」


クーニャは言いながら幸大の拳の指を一本ずつほどく。


「私も…咲子ちゃんも幸大君が望むことは何でもしてあげたいの。


咲子ちゃんも口では言ってるけど幸大君が真剣に頼めば動いてくれるよ?」

「さぁ、どうだかな…」


「だって、私も咲子ちゃんも…

幸大君が好きだから。」


「好きなんて言葉簡単には信用できない言葉だ。」

「人間なら、ね。


私たちは吸血鬼だよ?


一途で君にベタ惚れな…。」

「…あっそ。」

桂木が来るまで幸大はクーニャと手を握ったまま離さなかった。